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潰瘍性大腸炎の合併症

  • 監修:銀座セントラルクリニック 院長
     鈴木 康夫 先生

潰瘍性大腸炎(UC)になると、合併症があらわれることがあります。合併症には、腸管に起こる腸管合併症と、腸管以外の臓器に起こる腸管外合併症があります。

潰瘍性大腸炎の腸管合併症

腸管合併症には、腸管からの大量出血中毒性巨大結腸症、腸管の狭窄(きょうさく)・閉塞(へいそく)、穿孔(せんこう)、大腸癌などがみられます。

潰瘍性大腸炎の主な腸管合併症

大量出血 出血は、潰瘍性大腸炎の最も一般的な症状です。しかし、それとは明らかに異なる大量の出血が、“粘膜が深くえぐられ、むき出しになった血管(深い潰瘍に存在する露出血管)”や、“ひどい潰瘍が治った後にできた大きな塊(炎症性のポリープ)”から起こることがあります。
出血に伴うショック症状や貧血がみられることがあり、内科的治療で困難な場合は、内視鏡的あるいは外科的治療が必要になります。
中毒性
巨大結腸症
腸管運動が低下することにより、腸内にガスや毒素が溜まった結果、横行結腸の横径が6cm以上にふくらんで巨大化し、全身に中毒症状(発熱や頻脈など)があらわれます。穿孔が生じる危険性が高く、いったん穿孔が生じれば極めて予後が悪いので、多くの場合、診断後は緊急手術が必要となります。
狭窄
(きょうさく)
炎症が長期間続いたり、寛解・再燃を繰り返すうちに、腸管が狭くなる(狭窄)、あるいは閉じる(閉塞)ことがあります。また、炎症性のポリープが巨大化して腸管内を占拠し、閉塞することもあります。
限定的な狭窄であれば、内視鏡を用いて狭窄している部分を拡張する治療も有効ですが、高度あるいは広範囲な狭窄や閉塞では、外科的治療を行います。
穿孔
(せんこう)
重症の潰瘍性大腸炎では、腸管が表層だけでなく筋層まで全層的に炎症が起こっていることがあるため、穿通性の潰瘍(腸に孔があくようなえぐれ方)ができ、穿孔をきたすことがまれにあります。穿孔が認められれば、緊急手術が必要になります。

(大腸癌)
長い期間が経過した潰瘍性大腸炎では、炎症が続いたことにより、腸の癌化の危険性が高くなると言われています。

潰瘍性大腸炎の腸管外合併症

潰瘍性大腸炎では、腸管外にさまざまな全身的合併症を併発することがあります。

潰瘍性大腸炎の主な腸管外合併症

(図)潰瘍性大腸炎の主な腸管外合併症

①アフタ性口内炎 口の中の粘膜・とくに頬の粘膜にアフタとよばれる小さな浅い潰瘍がみられ、その周辺は赤く腫れ局所的に強い痛みがある。
②虹彩炎やぶどう膜炎などの眼症状 眼のぶどう膜と呼ばれる部分に起きる炎症のこと。目に強い痛みを感じたり、まぶしかったり、目が充血したりする。
③関節炎 合併症のなかで発症頻度が高い。膝や足首などの関節に痛みが起こる。
④結節性紅斑
(けっせつせいこうはん)
足首やすねに多くみられる痛みを伴う赤い腫れのこと。
⑤壊疽性膿皮症(えそせいのうひしょう) 主に足に多くみられる病変で、放置しておくと周囲に強い炎症を伴う深い潰瘍となる。
⑥静脈血栓 血液の変化や血流の障害が主因となり静脈内に血栓(血液の塊)が形成され、血流が障害される。
⑦強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん) 脊椎が固まってつながる病気で腰背部に痛みがあらわれる。
⑧原発性硬化性胆管炎(げんぱつせいこうかせいたんかんえん) 炎症で胆管が細くなってしまい、胆汁が流れにくくなる。進行すると胆汁性の肝硬変、肝不全にいたることもある。
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