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クローン病の経過
- 監修:慶應義塾大学医学部 名誉教授
北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター
特別顧問 日比 紀文 先生 - 関西医科大学 内科学第三講座 教授 長沼 誠 先生
クローン病は寛解(症状が落ち着いている状態)と再燃(寛解状態から再び症状が悪化すること)を繰り返す病気です。残念ながら現在のところ、病気を完治させる治療法はありませんが、治療法は進化しつづけています。
そのため、クローン病は適切な治療を継続的に受けることで病態の進展をコントロールし、寛解を長期にわたって維持していくことが重要とされています。
どのような経過をたどるのか
病態の進展には個人差がありますが、長い経過の中では、病気が徐々に進行してさまざまな合併症があらわれる場合もあります。 早期治療により病気の進展をコントロールし、安定した日常生活を送ることが大切です。
クローン病の進行
罹病期間の長さと合併症の発現
海外の報告では、クローン病と診断された時点で合併症がなかった患者さんが、5年後、10年後になると、狭窄や瘻孔などの合併症を有する割合が増えることが明らかになっています。
合併症は、早期に適切な治療を行うことが、高いQOL(Quality of Life:生活の質)を維持することにつながります。何か異常がみられた場合はすみやかに主治医に相談しましょう。
クローン病患者さんの罹病期間と
合併症発現の推移(海外データ)
手術は必要になるのか
クローン病の経過の中で、内科的な治療で改善しない合併症などに対しては、手術が必要となる場合があります。発症後5年で約30%、10年で約70%の患者さんが何らかの手術を受けられています。
また一度手術を行っても、病状の悪化で新たな病変や合併症が発現し、再手術をしなければならない場合も少なくありません。
クローン病の治療において重要なことは、たとえ寛解期であっても適切な治療を継続し、病状をコントロールすることで合併症を予防することです。現在は、さまざまな治療法が進歩してきているので、手術を必要とする患者さんの減少が期待されています。
クローン病患者さんの手術率
クローン病の再手術
一度腸管切除などの手術を行った患者さんでも、5年で約20~35%、10年で約55~70%が再手術を必要としています。また、瘻孔を合併している患者さんは、そうでない患者さんよりも高頻度に再手術を行っています。