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クローン病とは
- 監修:慶應義塾大学医学部 名誉教授
北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター
特別顧問 日比 紀文 先生 - 関西医科大学 内科学第三講座 教授 長沼 誠 先生
クローン病は、口から肛門までの消化管に慢性の炎症が起こる病気です。多くの患者さんは急に襲ってくる下痢や血便によって、はじめて体の異変に気が付きます。
クローン病では、消化管のあらゆる部分で炎症が発生
クローン病は主に、小腸や大腸などの腸管壁に炎症や潰瘍などができる慢性の炎症性疾患です。また、消化管だけでなく全身にさまざまな合併症が発生することもあります。寛解(症状が落ち着いている状態)と、再発・再燃(症状が悪化している状態)を繰り返します。
長い経過のなかで徐々に病気が進行する場合もあり、適切な治療を継続的に受けることが重要と考えられています。現在のところ病気を完治させる治療法はありませんが、治療法は進化しつづけています。
クローン病の発見
クローン病は、1932年にアメリカ合衆国のマウントサイナイ病院の内科医師であるクローン先生によって発表されました。そのときのこの病気は、回腸末端から盲腸に好発する炎症性の腸疾患として「限局性回腸炎」と呼ばれていました。
わが国に最初に紹介されたのは1940年頃で、「非特異的限局性腸炎」という診断名でした。紹介された当時は、まだ非常にまれな病気で、一般にはほとんど知られていませんでした。その後、この病気を発見したクローン先生にちなんで、「クローン病」と名付けられました。
クローン病は炎症性腸疾患
クローン病は、炎症性の腸疾患のなかのひとつの病気です。炎症性腸疾患は、細菌や薬剤などはっきりした原因で起こる特異的炎症性腸疾患と、原因不明の非特異的炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)に分けられます。
一般に炎症性腸疾患(略語でIBD※とよぶこともあります)といえば、クローン病や潰瘍性大腸炎をさします。潰瘍性大腸炎はクローン病とよく似た病気ですが、この場合は炎症の部位が大腸に限られます。
炎症性腸疾患の分類
病変の発生する場所によって、3つの病型に分けられています。病変が小腸に発生する小腸型、小腸と大腸に発生する小腸大腸型、そして大腸に発生する大腸型です。