ほかの患者さんの経験を知ることで、自分の悩みを解決する糸口を見つけたり、ヒントを得ることができます。是非、ご参考ください。
*CD=クローン病
肛門病変について
こんにちは。私は小学生の時にクローン病(CD)になって、病歴は15年くらいです。今は寛解状態で、食事も普通にとれているんですけど、たまに便秘や下痢でお尻が荒れてしまうことがあって、ちょっと不安になってます。「クローン病だと肛門病変になりやすい」って聞いたんだけど、お尻のことって、なかなかお医者さんにも相談しづらくて…。でも、このカフェだと正直に話せそう。みなさんは、どうしているのかな?
みずき(CD)
うん、気持ちすごくわかる。誰しもお尻のことを話すのって抵抗ありますよね。肛門病変を持ってる女友達に聞いても、異性のお医者さんだけでなく、親とか近い関係の人にもなかなか言いづらいみたい。ただ私は性格柄、「言わないと損!」という思考なので、主治医の先生には、切れたり、血が出たことも、わりと何でも言っちゃうかな。言えなくて治療が遅れたら、そっちのほうが損だものね?だから、このカフェみたいに、お尻の悩みについてオープンに話し合える場がもっと増えればいいなと思ってます!
ゆうき(CD)
今は肛門病変はなく、落ち着いてます。僕は20歳で初めて「肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)」になって、それがきっかけでクローン病だと分かったんだけど、クローン病だと診断がつくまでは10年くらいかかったかな。 最初は肛門がパンパンに腫れて、痛くてどうしようもなくなるまでほったらかしてたんです。その頃はIBDも肛門病変のことも知らなかったから、病院もどこ行ったらいいか分からなかったし…。僕の場合は、近所のおばさんが教えてくれた肛門科の専門病院に行き、膿を出す切開手術を2回やりました。
りょうへい(CD)
受診について
かかりつけ医を持ってない場合、最初の病院選びは大事ですよね!僕は20代の初めに「切れ痔」で何回か近所の肛門科があるクリニックにかかったんですけど、最初は肛門の触診だけで、どうも痔の状態が落ち着かない、腸も調べたほうがいいねとなって。それから内視鏡など数々の検査をして、クローン病だと分かるまで半年くらいかかりました。腸のほうは、アフタ(腸の粘膜にできた口内炎のような浅い潰瘍)が若干見られるという診断。それで5年前、「痔ろう」ができた段階で、すぐに大腸肛門科の専門病院に行って手術を受けました。今は比較的落ち着いていて、主に肛門病変を中心に治療を続けてます!
しょうた(CD)
お尻が痛くて「痔かな?」と思って受診してみたら、IBDセンターに通されて、肛門の触診をして、なんかおかしいとなって。それで、大腸の内視鏡検査をしたら、そこで初めてクローン病だと分かりました。後で主治医の先生に聞いて知ったんだけど、そういうケースも少なくないみたいだよね。クローン病の場合は、そこからまた小腸を調べて確定診断になることが多いと思うんだけど…。ちなみに、たぶん珍しいと思うんだけど、僕のIBDの主治医は外科なんです。そのせいか、病変があろうがなかろうが、毎回必ずお尻を診てくれるんです。
しんご(CD)
そうですよね。「内痔」と「外痔」ってあるじゃない?やっぱり奥のほうは自分では分からない炎症があるかもしれないから、しっかり奥まで指を入れて触診してもらって、「なんともないね」「大丈夫だよ」と確認してもらえるのって、すごく安心すると思います。ところで、肛門病変の自覚症状って、どんな感じなのかな? 「なんかお尻痛いな」と思ってたら、急にもう座れないほど痛くなるとか、膿が出てくるとか、どのくらいのペースで進行するのか気になります。
えいた(CD)
症状について
僕の「肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)」は1カ所だけだったけど、痛みだしてからパンパンに膨らむまでは、けっこう早かったかも。お尻の穴にまずは、おできみたいなしこりができて、最初「あれ?」って思うんですよね。それがどんどん膨らんで、熱も持ってきて。押すとすごい痛いから、患部に触れないようにしないと座れない。でも膿は切開するまでは一切出ないんです。当時は20歳そこそこだったから、お尻が痛いって言うと、友達はふざけて指を突っ込んでくるし、もう冗談じゃないよって。こっちは悲鳴を上げるくらい痛いんだからって、なってましたよ。
けんじ(CD)
僕は「切れ痔」がきっかけだったんだけど、切れ痔ってやっぱり排便する時、血が出るじゃないですか。それがなかなか治らないなとなって、1週間ぐらい経ったある日、夜中にすごい高熱が出たんです。風邪の症状ではなくて、お尻がとにかく灼熱みたいに熱を帯びた状態に。だから僕の場合は、痛みのあまり、恥ずかしいとか考える余裕もなかったというのが正直なところです。あと「痔ろう」になってしまうと、激しい痛みはない代わりに、絶えず肛門に違和感を持ちながら生活してる感じで、排便もうまく出きらない。そこが痔ろうの嫌なところかなって思います。
まさと(CD)
検査と手術について
ありがとうございます!このノートを読んでいると、僕みたいに、今のところは15年間「小腸病変」だけで、大腸元気、お尻元気っていう人も、いつ明日は我が身になるかもしれないと、すごく思いました。だから、少しでもおかしいなと思ったら、すぐに触診してもらって大腸カメラなど適切な検査をしてもらって、状態を確認することが大事だなって。
しんご(CD)
ですよね!私も少しでも「あれ?」と思ったら、まずは主治医の先生にちゃんと相談して、肛門病変をしっかり診てくれる病院に行きたいなと思いました。でも、もし肛門病変になったら、手術についてはやっぱり不安…。
みずき(CD)
僕も手術の前は、不安だらけでしたよ!とにかく「痔ろう」が、ぼこぼこ3カ所ぐらいできていたので、まずは「ドレナージ」といって、痔ろうに管を通して膿を出す処置をしてもらって。それが落ち着いた後に、痔ろうの周りの肉をトンネル状にくり抜いて、そこに特殊なゴムを通して締める「くり抜き法」と「シートン法」の併用手術をしたんですけど…。直後の患部は、まるで「嵐のあと」みたいな感じになってて1カ月ぐらい入院しました。でも5年経った今は幸い肛門が炎症しているという見立てはないので、通院も3カ月に1回くらいですんでます。
しゅんや(CD)
僕の場合は、担当医の先生と、しっかりコミュニケーションを取れたことが良かったかも。手術をすることでどのくらいの改善が見込めるかというのをまず聞いて、そこからいろいろ聞いていく中で「万が一だけど肛門機能にちょっと障害が残る可能性もある」という話も言われましたけど…。先生は、手術の最中も「どこどこがこうだから、こうして…」とか丁寧に説明しながら進めてくれましたよ!
かいと(CD)
日頃のケアと食事の工夫
あと、肛門病変は、日頃のケアも大事だよね?清潔に保つことが一番だけど、手術後は膿が出るから、しばらくはガーゼをしたり…。僕の場合は、女性用のナプキン!あれがとても助かって、「肛門周囲膿瘍」の切開手術後は常に持ち歩いてました。また今でこそ温水洗浄便座がどこでもあるけど、昔はなかったから、赤ちゃん用の霧吹きもベビー用品店に大量に買いに行きましたよ。それからドーナツ型の座布団(円座)も助かったな。
りょうへい(CD)
僕は、「痔ろう」の手術で入院した病院で貰ったガーゼが一番使いやすかったので、それに近い医療用ガーゼをネット通販サイトでよく注文してました。そして僕も退院して1~2週間くらい、痛みがなくなるまでは、ドーナツ型の座布団(円座)を常に持ち歩いて、会社にも持って行ってました!
たろう(CD)
僕も実は、便秘気味で、切れ痔になることは普通にあるんだけど…。肛門病変を予防するというか、肛門の状態をよく保つためには、食事も大事だよね? 僕の場合は、酸化マグネシウムの便秘薬を補助に服用したりしてるんだけど。
てる(CD)
食事の工夫は、すごく大事だと思います!特に僕の場合は、まだシートン法のゴムを通した状態なので、直腸の穴から便が入ってしまうと炎症が広がる悪循環に至ってしまうので…。とにかく下痢や便秘にならないように気をつけてます。ただ僕も気を抜くとすぐ便秘になるので、下痢よりはまず便秘に注意。キャベツが体質的に合ってるみたいなので、千切りだったら茶椀1杯くらい、あとは上手く野菜炒めにしたり、鍋にしたり、1日1/4玉くらいは、必ずとるようにしています。
しょうた(CD)
私は、肛門病変ではないけど、たまに切れてしまったりということもあるので、基本的に清潔にして、お風呂では優しく洗うとか、優しく拭くとかは気を付けてます。なんでもごしごしやっちゃうと痛いじゃないですか。だから、お尻に優しい生活を心がけてます!
ゆうき(CD)
クローン病の患者さんには、肛門に病変ができやすいことが知られています。
いろいろなデータがありますが、数十%~90%という報告もあり、「大腸型」の患者さんほど頻度が高くなる傾向があります※。
クローン病の肛門病変には、3種類あります。
①クローン病の病変が肛門に発生したもの(一次病変)
②クローン病の症状(下痢など)が原因となっておこってくる病変(二次病変)
③クローン病とは関係なしに偶然に発生した肛門病変(痔核、裂肛、痔ろうなど)
いずれにしても、クローン病と診断された場合は、患者さんの状態に合わせて、適切に内科的治療(5-アミノサリチル酸製剤、副腎皮質ステロイド、免疫調節剤、生物学的製剤、栄養療法など)を開始し、炎症など病気の状態をしっかりコントロールします。また状況に応じて外科的治療も行います。
肛門病変に対しては、単純で浅い痔ろうでは「切開開放術」が行われますが、複雑で深い痔ろうでは、おもに肛門機能を温存するために「シートン留置術(シートン法)」が用いられます。シートンは「ひも、糸」といった意味で、痔ろうに通し、内部にたまった膿を排出するために長期間留置して、症状を緩和するためのものです。
肛門病変がある時は、おなかの調子がよい時期でも、特に食事には注意しましょう。動物性脂肪は、おなかの炎症を悪化させることを忘れないように。
また、おなかの調子が良くても病気が悪化していることもありますから、定期的に内視鏡などの検査を受けてくださいね。
監修:土庫病院 大腸肛門病センター 吉川 周作 先生
参考文献:
※ 日本大腸肛門病学会 クローン病の肛門病変
難病情報センター クローン病(指定難病96)